夜景カメラマンの fabrik_view ( @hom_fab )です。
過去に個展を1回、2人展を1回実施した経験を元に会場の選定・準備・プロモーションで実施したことを経験を交えて紹介します。
写真展開催を決めたら以下のTo Doリストも参考にしてみてください。
<To Doリスト>
・ゴール設定:目標、達成したいことは?
・会場の選定(予算・日程・展示コンセプトと会場のマッチング)
・展示コンセプトの決定:写真の選定、印刷、展示方法
・販売する場合は価格設定と領収書、釣銭の準備
・写真以外の印刷物:ネームプレート、アンケート、作品紹介のブックレット、名刺、チラシ、DM、ポスター
・搬入・搬出の運搬方法
・空間づくり(ライティング / 椅子、テーブルは用意するか検討)
・集客、プロモーション
今回は上記のTo Doリストから特に力を入れた点、重要だったと感じた点を中心にお話したいと思います。
【会場(ギャラリー)選定方法と重視したポイント】
▶まずはインターネットで検索
ネット検索では、自分と作風が似ているカメラマンや尊敬しているカメラマンが過去に実施した会場を探しました。
初めての写真展では電線やジャンクション夜景の写真がメインだったので、そういう少しマニアック路線のジャンルでも受け入れてくれる体質があるかを知る上でも参考になります。
会場をおおよそ数か所絞り込めたら、過去の展示情報やこれからの予定を調べます。そして実際に現地に行って展示を見学しましょう。
過去に話題になるイベント等を実施していたら会場自体にプロモーション力がある可能性もあります。
▶ 会場オーナーとの相性
オーナーとの相性はとても大切です。初の写真展ならなおさらです。
わからないことが多い中で気軽に質問することが出来るか、想定外の事態に臨機応変に対応してくるかがストレスない運営の決め手になります。
私の場合はオーナーの方がとても親切で、一緒に設営や搬入を手伝ってくださいました。
また、展示は予測できない事情での延期を行うケースがあります。
台風や地震などの自然災害や事故など不確定な要素で延期を行わざるを得ない可能性は必ずあります。
私も初の写真展はコロナウィルス感染症の影響で4カ月ほど延期になりました。
延期になるのは仕方ありません。問題は困難な状況になった時、中止にするか延期にするかを会場側としっかり話し合えるかどうかです。
会場に非がない場合は、通常延期料金を支払うことになりますが、それが全額になるのか半額になるのかで予定もだいぶ変わると思います。この点は契約時にも確認しましょう。
▶ 契約内容確認する
イベント期間中に写真や絵画、グッズを販売することもあると思います。その時に売り上げの数割をマージンとしてギャラリーに支払う可能性があります。
その他にもキャンセル期間、使用料の支払い期限にも気を付けましょう。
重要項目については契約時にオーナーから説明があると思いますし、ウェブサイトにも掲載されていますので後で問題が起こらないように確認しておくことをおススメします。
▶立地
2021年7月開催した2回目の展示(2人展)
知人やウェブの集客以外に通りすがりの方々に関心を持っていただくことも大切です。
2人展では日本的な風景が多かったため、外国人の観光客もターゲットに入れて東京オリンピック会場の千駄ヶ谷付近で開会式に合わせて実施しました。
結果的には外国人の方々が来日される状況ではなかったのですが、偶然会場を通りかかった方が作品を購入してくださったこともありますので立地との相性は大切です。
▶会場の集客力
よほど有力なギャラリーでない限り、基本的に集客は自分ひとりで行うことになります。
ギャラリーでは自分で作ったチラシやポストカードはおいてくれるかもしれませんが、積極的なプロモーションは行ってくれません。依頼できる場合も有料になる可能性が高いです。
【写真の選定、印刷、展示方法】
写真は釣り式にするか、壁に直接貼る、台に立てかけるなど様々な方法があります。
↓このように釣りました。
パネル用のフック
↓立体感のある演出ができます。
印刷時のパネル設定ではフックがかけられる穴を付けてもらったり、自立式のスタンドが付く場合もあります。
軽いプリントであれば「ひっつき虫」を使い壁に取り付けることもできます。これは会場によっては許可されない場合があるので事前に確認を取りましょう。
こちらの展示はひっつき虫を使い貼っています。
印刷ではキンコーズやACCEAを活用するのも手だと思います。私はメイン作品で販売も想定している写真の印刷はプロの富士フィルムクリエイト様に依頼し(サイズにもよりますが、1枚数千円かかります)、その他の写真は上記の印刷所でパネル印刷お願いしました。
個人的な好みで額装はあまり使用しませんでした。
キンコーズやACCEAのパネル印刷の仕上がりはかなり綺麗なのでおススメです。
また、ハレパネを使い自分で展示用に仕上げる方法もあります。私は以下のように主に案内板や紹介文でハレパネを活用しています。
こちらは少し厚いプリント紙にハレパネを組み合わせました。
ノリ付きパネルなので簡単に制作することができます。
このハレパネは作品タイトルや作品紹介を作る際にもとても重宝します。
来場者全員に渡したポストカードを入れるOPP袋はこちらを活用しました。
【集客・プロモーション:SNSの活用、チラシの配布】
写真を見てもらうために欠かせないのが集客です。どれだけ良い展示構成でも見てもらえないともったいないです。
感覚値にはなりますが、初めての写真展についてはご来場者の割合は知人4割、SNS4割、通りがかり(ドロップイン)2割でした。私の場合はTwitterのフォロワーが8,000アカウントを超えていたので、Twitterを集客の要にしました。どのプラットフォームを集客の要にするかは人によって異なると思います。
うまい方は、写真展開催前までバズるネタをとっておくようです。写真展開催が近づいたらネタを公開して、そのネタが話題になっている所を狙い写真展の告知を行うようです。
その他のSNSではFacebook、Instagramも活用しました。Facebookの告知を見て多くの知人も来場くださったの嬉しかったです。
その他のプロモーション方法としてはチラシを印刷し、展示写真のパネル印刷をお願いした富士フィルムCREATEや当時所属していたシェアオフィスや知人のオフィスに置かせて頂いたりしました。
これも個人差がかなり出ると思いますが、チラシでの集客は2ー3名程度にとどまったと思います。
【空間づくり】
現場でしか体験できない経験を来場者に提供することが大切だと感じました。
2020年実施の個展「日常変化」
都内30か所のジャンクション夜景の人気投票を実施しました。好きなジャンクションの下にシールを貼ってもらいます。
Twitterや他のSNSを使って都内のジャンクション紹介を行い、興味を持っていただける方にプロモーションを行いました。
ブック形式のポートフォリオの展示。ご来場者の方との会話を広げるきっかけになります。
照明も会場にやって個性がでます。照明の個性を生かした展示方法をプランしておきましょう。
その他にもゆっくり鑑賞いただく方向けにお茶や座るスペースを用意しておくとよい場合もあります。
▶ 感染症に関するお願いごと
地域や会場の方針に合わせて必要に応じて感染症対策を行いましょう。
【最後に】
コロナウィルス感染症の中、2回の写真展を行いました。決して良い環境で出来たとは思いませんし、コスト管理も甘かったなど反省点は多々あります。
1回目の個展は自己プロモーションを重視したので大赤字でした。コロナウィルス感染症の流行で開催延期と、集客力にも大きく影響が出ましたので目標に対しての達成率は6割程度です。
2回目はコストを意識しましたので、売り上げと出費でかろうじで採算が取れる感じでした。
決して順調とは言えない船出でしたが、それでも結論は実施してよかったの一言です。
旧い友人や写真仲間との邂逅との場所にもなりますし、SNSでやりとりをしていた方々と実際に顔を突き合わせて話をしたり、通りがかりのドロップインの来場者の方とも思わぬ縁が出来たりします。
特に印象に残った出来事として写真展最終日の夕方に通りすがりの女性が道路に向けて展示している作品をじっと眺めていらっしゃったのでお声掛けすると次のような言葉を頂きました。
「この写真あなたが撮ったの?私、普段人のことめったに褒めないんだけどこの写真は本当に良いと思うわ!才能あるわよ」
その写真は私の思い入れのある作品だったこともありとても嬉しかったのを覚えています。
誰かに対面でこのような言葉をかけて頂けることがあるのは写真展ならではと思います。
自分の作品が誰かに受け入れてもらえるのか、客観的に価値のあるものなのか、そういう試験的な目的でも写真展開催は非常に良い選択だったと思います。
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